第88章

神崎竹史の表情を窺う余裕など、今の彼には微塵もなかった。なぜなら神崎の口から放たれた言葉は、すでに灼熱の業火となって彼に降り注いでいたからだ。

言葉を終えるや否や、神崎竹史は雷鳴のごとき怒号を轟かせた。

「いい加減にしろ!」

そう叫ぶと、神崎竹史は手にした薬瓶を荒々しく懐にしまい込んだ。

「高橋さんを敵に回した以上、貴様にこの薬を使う資格などない!」

藤原俊夫は呆然とした。つい先ほどまで救いの手を差し伸べてくれようとしていた神崎竹史が、薬を取り上げたばかりか、自分を「資格なし」と断じたのだ。

あまりの急転直下に、藤原俊夫の思考は停止した。

しかし、彼が事態を問いただす暇すら与え...

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