チャプター 112

ユリア視点

夏の熱気がスプリング・バレー一帯に、ぬくい毛布のように降り積もっていた。新しいアパートへ最後の箱を運び込む。ネイサンとの一件を思えば、この場所はどうしても必要だったもの――安全そのものだった。マシューが手配して、ソフィアと私は群れの縄張りの中心部にある隣同士の部屋を与えられている。守られるには十分近く、それでいて自分たちの暮らしだと感じられる程度には独立している距離だ。

「ここ、意外と……いいじゃない」ソフィアが言い、アパート同士をつなぐ出入り口のところに立った。首にはカメラがぶら下がっている。「想像してたよりずっとマシ」

私は笑ってしまった。彼女の前向きさが意外だったからだ...

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