チャプター 116

マシュー視点

ジュリアが震えるほどに鳴り続ける携帯電話を見つめ、指先を画面の上でためらうように止めているのを、俺は黙って見ていた。「ダニエル・ライト」という名前が何度も点滅し、そのたびに俺の狼――ハティが、独占欲を滲ませた唸り声とともに身じろぎする。ジュリアの匂いが瞬時に変わった。不安の気配に、俺にも言い当てられない何かが混じる。罪悪感か? それとも迷いか?

真っ先に湧いた衝動は、電話を取り上げて黙らせることだった。静かな森の開けた場所で、たった今分かち合ったものを守るために。だが、それは違う。それは――あいつならやった。ネイサンなら。俺は、あいつと同じにはならない。

「出たほうがいい」...

ログインして続きを読む