第121章

グレース視点

ラウンジ「ムーンライト」の脈打つような照明が、赤いブランド物のドレスの上に交互の影を落としていく。生地は狙いすました精度で身体の曲線にぴたりと沿い、どこもかしこも逃がさない。周りでは友人が三人、シャンパンのフルートグラスを握りしめ、称賛の笑みの下に、隠しきれない羨望を滲ませながら目を見開いていた。

「もう、グレース。ほんとツイてるよ。ここ、想像してた以上に豪華じゃない?」ロージーが身を乗り出す。重低音が壁のように鳴り続け、会話を外に漏らさないと知っていながら、彼女は共犯めいた囁き声まで落とした。

私は計算した間を置いてシャンパンをひと口含んだ。冷たさが喉を滑り落ちていくあい...

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