第140章

ジュリア視点

私はマシューの匂い――松と雨、それに奥に潜むアルファの麝香――をたどり、静かなコミュニティセンターの廊下を抜けて客室区画へ向かった。身体は疲労で軋んでいたのに、頭だけがどうしても減速してくれない。ほんの一時間前、私はスター・シャドウの群れの臨時リーダーを引き受けた。自分がそんな立場に立つなど、想像したこともなかったのに。

マシューの部屋に入る前に、私は扉の外に置かれた小さな消毒ステーションの前で足を止めた。看護の癖はそう簡単には抜けない。まして流行病の最中だ。私は特別な抗菌石けんで手を念入りに洗い、さらに前腕へ消毒スプレーを吹きかけた。ウイルスを広げる可能性を少しでも減らすた...

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