第四十四章

マシュー視点

部屋の空気が一気に張り詰めた。アルファの気配がぶつかり合い、火花が散るようだった。ライアンと介添え役たちは怯えたように後ずさりし、壁際へと退いた。

「ネイサン」俺は平静を保ったまま言った。「これは権威だの縄張りだのの話じゃない。エマには医療が必要だ。しかもただの流行り病なんかより、ずっと厄介な状態にある。彼女の狼が治癒を拒んでいる。夫の死と関係しているんだ」

ネイサンの表情がふっと複雑に揺れ、目の奥に得体の知れない感情が走った。「お前には関係ない。あいつはもう一年もこのままだ」

「だが今は流行り病で死ぬ」俺は譲らなかった。「狼が協力しないなら、薬の効き目は大きく落ちる。俺...

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