チャプター 156

マシュー視点

目の前の書類が、焦点のずれとともに滲んだ。国境警備隊からの報告書――今日だけで五通目だ。人差し指が磨き上げられた会議机を無意識にとん、とん、と叩き、思考はまたジュリアへとさまよい戻っていく。

「アルファ・コリンズ?」

その声は遠く、記憶に比べれば取るに足らないものに思えた。

「マシュー?」

今度はジェームズの声が鋭く割り込み、現在へと引き戻す。瞬きをすると、会議机を囲む七人分の視線がこちらに突き刺さっているのに気づいた。どれだけ考え込んでいた? ジェームズの心配そうな顔が、呼びかけが一度きりではなかったことを物語っていた。

「すまない」椅子に座り直し、背筋を伸ばす。...

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