チャプター 163

ユリア視点

ひんやりとした朝の空気が、アパートの建物を出た途端に頬を打った。ほんの昨日、私はマシューの顔に向かってドアを叩きつけたばかりだ。何週間も音沙汰がなかったくせに、今さら言い訳なんて聞く気になれなかった。あの人は花とメモさえあれば、自分が忽然と消えたことが帳消しになると思っているらしい。たった一言、「ごめん」で、置き去りにして引き裂いた傷が癒えるとでも? そんなふうに簡単に許しが降ってくると思っているのなら、とんだ勘違いだ。

私は足を止め、凍りついた。

そこに――コンクリートの階段に不格好に身を丸めているのは、マシューだった。長身の体が信じられないほど小さくまとまり、膝を胸まで引...

ログインして続きを読む