チャプター 164

ジュリア視点

病棟は、パンデミック後の慌ただしさが嘘みたいに、ようやく静かなリズムを取り戻していた。私は患者の間を手際よく行き来し、バイタルを確認してカルテを更新する。仕事に集中している間だけは、頭の中の嵐――混乱、傷ついた痛み、そして昨日マシューが玄関先に現れて以来、そこに居座ってしまった、歓迎したくない希望の胸騒ぎ――を少し黙らせることができた。

それでも、ロドリゲス夫人の服薬スケジュールに意識を向けながら、彼の気配だけは無視できなかった。待合スペースに座り、微動だにせず、あの真っすぐな目で私を見ている。今朝以来、近づいてもこないし、話しかけようともしない。ただ……待っているのだ。

...

ログインして続きを読む