チャプター 182

ジュリア視点

ほんの一瞬、用意周到に組み立てていた言葉――お礼や謝罪や「本当に感謝しています」の類い――が、すうっと蒸発してしまう。肩甲骨のあいだにずっと居座っていた固い結び目。大西洋の上空あたりで、第一印象だの嫁としての礼儀作法だのを気にしはじめたときにできたそれが、いっせいにぷつんと切れた。

笑いが喉の奥から弾けて出た。鋭くて、我ながら意外な笑いだ。喉に引っかかって、こぼれ落ちるみたいに止まらなくなる。片手で目元を押さえたまま、どうしようもなく笑ってしまう。

「うそでしょ」くすくす笑いの合間に、ようやく言葉をつなぐ。「私、スピーチを練習してたのよ、マシュー。スピーチ。なのにあなたのお...

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