チャプター 2

ジュリア視点

ネイサンは、まるで私に触れて火傷でもしたかのように身を引いた。その顔は衝撃に歪み、次の瞬間には怒りで引きつった。

「違う」彼は唸り声を上げた。「これは間違いだ」

カイアの最初の歓喜は、たちまち困惑に叩き落とされる。――何が起きてるの? どうして怒ってるの? 私たち、番なのに!

ネイサンの瞳が、危険なアルファの緑にぎらりと光った。彼は私の腕をつかむと、目撃者が出かねない場所から遠ざけるように、学校の裏手の森へずるずると引きずっていく。木々の間に身を隠せるところまで来ると、今度は乱暴に突き飛ばした。私はよろめいて後ろへ倒れかけた。

「お前が」彼は吐き捨てた。声は怒りで震えている。「よりによって、月の女神が選んだのが……お前だと?」

私は腕をさすった。掴まれた跡が赤く残っている。「こっちだって別に嬉しくない」言い返せたのは、カイアの憤りが私の背中を押したからだ。

――よくもそんな口がきける! カイアが内側で唸る。――私たちは慰めの景品じゃない!

ネイサンは檻の中の獣みたいに歩き回り、拳を握っては開いた。

「こんなはずがない」彼は呟いた。「認めるものか。いいな、ジュリア。俺はお前を拒絶する」

その言葉で、胃の底がすとんと落ちた。拒絶――番の絆を正式に断ち切る行為は、魂の半分を引き裂かれるみたいに耐え難い痛みだと聞く。

「でも、それは……」私は囁き、続きを言えなかった。

「それは何だ?」ネイサンが近づき、見下ろすように立ちはだかった。「俺がお前を受け入れるとでも思ったのか? 薬草集めしか能のない無名の人間が。俺はアルファになる。隣に必要なのは強い相手だ。植物に話しかけてる変なひとりぼっちじゃない」

カイアが毛を逆立てる。――こいつは私たちにふさわしくない。拒絶させればいい! そのほうがマシよ!

「ネイサン! こんなところにいたのね!」

私たちは同時に振り向いた。木々の間からメーガンが歩いてくる。森には不釣り合いな、いかにも高そうな服装だった。彼女は私を見つけると、疑うように目を細めた。

「みんな探してるのよ」メーガンは言いながら、所有物みたいにネイサンの腕へ絡みついた。「こんなところで、その子と何してるの?」

ネイサンは顎をこわばらせ、ちらりと私を見る。「大したことじゃない。ホワイトが、いつもの通り不器用に俺にぶつかってきただけだ」

メーガンの笑い声は残酷だった。「相変わらずぼんやりして、前も見てないのね、ジュリア?」彼女は、私を高級な靴の裏にでも貼りついた汚れみたいに品定めする。「もっと気をつけたほうがいいわよ。ネイサンみたいに優しい人ばかりじゃないんだから」

頬が羞恥で熱くなる。運命の番と出会う瞬間は、本来なら喜びに満ちた、理解と充足の一瞬のはずだ。なのに私の胸にあるのは、恐怖と恥だけだった。

「行くぞ」ネイサンがメーガンに言った。

――これは俺たちだけの話だ。いいな? 彼の声が、心のつながりを通して頭の中に侵入してきた。――誰かに言ったら、お前の人生を地獄にしてやる。それに、俺が拒絶したら、抵抗せずに受け入れろ。

私は黙ってうなずいた。喉は、こぼれそうな涙で締めつけられていた。望んでもいない絆の向こうから、冷たい脅しの圧がびりびりと伝わってくる。

ネイサンは最後にもう一度だけ、警告するように睨みつけると、メーガンを連れて去っていった。私は木々の間に取り残され、震えが止まらなかった。

――最低のクズね。カイアが内側で憤る。――あんな……あんな尊大ないじめっ子が運命だなんて信じられない!

――違うよ。私は心の中で返す。――拒絶するって言ってた。覚えてるでしょ。

――結構! あんなのいらない。あなたの価値もわからない、勘違いしたアルファ気取りなんてね。

私はずるずると座り込み、木にもたれて膝を抱えた。十八歳の誕生日――ついに狼が目覚める日。それが悪夢に変わった。堪えようとしても、涙が頬を伝って落ちていく。

――泣かないで。カイアが励ました。――私たちはこれくらいで折れない。あいつより強いんだから。

返事をしようとした、そのときだった。突然、携帯が鳴り響き、驚いて肩が跳ねた。

――ちょっと、落ち着いてよ! 私までびっくりしたじゃない! カイアが文句を言う。私はポケットの中でもたつきながら携帯を取り出した。

知らない番号だった。私は目元を拭い、声が震えないように整える。

「もしもし?」

「ジュリア・ホワイトさんでいらっしゃいますか?」きびきびとした女の声が尋ねた。

「はい」

「ホワイトさん、州立大学の入学課からお電話しております。秋学期の看護学課程への合格が決定しましたので、ご連絡差し上げました」

息が喉で詰まった。「わ……わたしが? 本当に?」

「はい。選考委員会は、薬草とその活用に関するあなたの研究をとりわけ高く評価しました。合格通知は明日投函されますので、数日中にはお手元に届くかと存じます」

入学手続きの締め切りやオリエンテーションの日程をその女性が続けるあいだ、頭の中はめまぐるしく回転していた。州立大学。看護学校。群れを出る――ネイサンから離れる――その機会。

けれど群れの掟は明確だ。番のいない狼は、アルファの許しなく縄張りを出られない。ネイサンが行かせるはずがない。まして、わたしが彼の番だと知った今となっては。たとえ捨てるつもりでも、支配の届く場所に置いておきたいはずだ。

――でも、もし。

「本当にありがとうございます」受話器に向かって言いながら、ひとつの考えが形を取りはじめた。「お手紙、届くのを待っています」

通話を終えた瞬間、初めて胸の奥に希望がせり上がった。今のわたしには切り札がある。正式な拒絶の儀式は、双方の同意がなければ成立しない。

『取引を持ちかけるつもりね』カイアが見抜く。『いいじゃない。あいつが私たちを厄介払いしたがってる気持ちを逆手に取るのよ』

『そのとおり』わたしは立ち上がり、ジーンズについた土を払った。『拒絶はできる。でもその前に、わたしを外へ出してもらう』


三日後、大学の紋章が押された分厚い封筒が届いた。何度も何度も読み返し、指先で文字をなぞった。

『ホワイト様 このたび州立大学看護学部への入学を許可いたします。薬草に関するあなたの卓越した研究は、本学入学選考委員会に深い印象を与えました……』

これが、外へ出るための切符だ――取引が成立するなら。

『今夜は月の集いよ』カイアが念を押す。『ネイサンも来る。話を切り出すにはうってつけ』

わたしはその手紙を薬草ノートの間に丁寧に挟み、落とさないようにした。『そうね。それに、群れの前で大騒ぎはできないはず』

『そうとも限らないわ』カイアが釘を刺す。『でも、やるしかない』

集会所はいつものように銀の飾りで輝いていた。到着するなり家族のそばを抜け出し、ネイサンの姿を探して人波を見回す。

見つけた。いつもの取り巻きに囲まれ、そこには兄のエリックもいて、さらに何人もの取り入ろうとする連中がいる。右手の銀のアルファ後継者の指輪が、身振り手振りのたびにきらりと光った。何か面白い話でもしているのか、周りは笑い声を上げている。

近づく気配を感じ取ったかのように、ネイサンが振り向いた。視線がぶつかった瞬間、彼の目が細くなる。

「何の用だ、ジュリア?」近づくと、驚きが声に滲んだ。わたしが自分から彼に寄っていくことなど、まずない。

「話があるの」胃の奥が固く結ばれているのを押し込み、声に自信を貼り付けた。「進学のこと」

ネイサンは手首をひらりと振って取り巻きを下がらせた。渋々散っていく中、エリックだけが疑いのこもった視線をわたしに投げ、間を取って後ろへ退いた。

「静かなところへ行こう」ネイサンの声は冷たく、抑えられていた。

彼は二階の隅へわたしを導き、喧騒から離れた。大きな窓から月光が差し込み、わたしたちを銀色に浸す。

「州立大学の看護学課程に受かったの」ノートから手紙を引き抜き、差し出した。「行きたい」

ネイサンの目が紙面を流し読む。「群れを出るにはアルファの許可がいる」

「知ってる」

「許可は出さない」彼は投げやりな仕草で手紙を返した。

深く息を吸う。「正式な拒絶には、わたしの同意も必要だってこと、あなたも知ってるでしょ」

彼の目が危険な光を走らせた。「脅してるのか?」

「交渉よ」わたしは言い直した。カイアの胆力が血の奥から流れ込んでくる。「大学へ行かせて。そうしたら、あなたの拒絶に同意する」

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