チャプター 3

ジュリア視点

ネイサンは私を見つめ、明らかに不意を突かれていた。彼の目の奥で思考が忙しく回転しているのがわかる――番の絆から解放されたい。だが同時に、私が自分の支配から逃げおおせることだけは耐えがたい。

「大学へ行っていい」ようやく彼は言った。「だが卒業したら群れに戻るんだ」

「完全な自由が必要なの」私は言い返した。「卒業後にどこで働くかも含めて」

「絶対にダメだ」声が硬くなる。「卒業したら戻る。それが俺の最終条件だ」

私は選択肢を量った。四年の自由があれば、もっと恒久的な逃げ道を見つけられるかもしれない。それに私は、ここから、彼から、どうしても離れる必要があった。

「……わかった」私は譲歩した。「卒業したら戻る」

ネイサンはうなずいた。表情は読めない。「なら、今やる」

彼は片手を差し出した。掌を上に向ける――拒絶の儀式の、伝統的な始まりだ。胸の鼓動が耳の奥まで響く。震える手を、私は彼の手に重ねた。何年ぶりかに肌が触れ、望みもしない痺れが腕を駆け上がる。

「俺、ネイサン・レイノルズは、ジュリア・ホワイト、おまえを運命の番として拒絶する」彼は儀礼めいた、感情のない声で言い始めた。「番としてのあらゆる義務と責任から、おまえを解放する」

その言葉に、私たちの絆が小さく震えた。胸の内側に痛みが花開く。想像していたより鋭い。私の狼が悲しげに鳴いたが、私は無理やり言葉を返した。

「私、ジュリア・ホワイトは、この拒絶を受け入れます」涙がこぼれそうなのに、声は意外なほど揺れなかった。「番としてのあらゆる義務と責任から、あなたを解放します」

繋がれた手から奇妙な冷たさが広がり、全身へと染み渡った。覚醒して以来、意識の縁にまとわりついていたネイサンの常時の気配が薄れていく。だが、完全には消えない。

ネイサンは火傷でもしたかのように手を放した。「終わった」

私はうなずき、救命索みたいに大学の合格通知を握りしめる。「終わったわ」

***

三か月後。

看護学の教科書の束を、小さな寮の本棚へ折りたたむように収めながら、私は整った空間を見て微笑んだ。

州立大学の看護プログラム。私は本当に、ここまで来たのだ。

本の背表紙を指でなぞり、故郷では一度も味わったことのない「居場所」の感覚を確かめる。私の小さな寮室は特別なものじゃない――支給品の家具、ツインベッドが二つ。片方には新しく買った青い寝具、もう片方は鮮やかな黄色の掛け布団と、いくつものぬいぐるみに覆われている。

窓に向かって簡素な机が二つ並び、片方はきちんと積んだ教科書以外何もない。もう片方は化粧品や写真、そして半分だけ開けられたままの飾り用フェアリーライトの箱らしきもので散らかっていた。半分しか自分のものじゃないのに、それでも贅沢に感じる。家族がずかずか入り込んで批判めいた言葉を投げつけてくることもない。群れの政治が会話の端々に入り込み、息を詰まらせることもない。

ネイサンもいない。

私は手を止め、反射的に胸へ手をやった。鈍い痛みがまだ残っている。正式な拒絶で絆は三か月前に断ち切られたはずなのに、痛みの残響だけが、どうしても消えきらない。カイアも大抵の日は異様に静かで、まるで自分の傷を舐めているみたいだった。

「それでも、価値はある」私は小さく呟き、背筋を伸ばして、ほとんど片づいた荷物を見渡した。痛みは自由の代価だ。私が逃げてきたものを思い出させる印。

スター・シャドウでは、私は変わり者だった。薬草と癒やしに取り憑かれ、誰の視界にも二度と入らないような少女。自分の運命の番に、公衆の面前で拒絶された少女。

ドアを叩く音がして、思考が断ち切られた。

「こんにちは?」廊下から、親しげな男の声がする。「新入生の入寮チェックなんだけど?」

ドアを開けると、砂色の金髪とクリップボードを持った背の高い青年が立っていた。迎え入れるような笑顔は本物に見え、故郷で慣らされた作りものの丁寧さとはまるで違う。

「ダニエル・ライト。医療系プログラムのある北クワッド寮のレジデント・アシスタントだよ」彼は手を差し出した。「君がジュリア・ホワイトだよね?」

「そうです」私は手を握り返した。「ちょうど荷ほどきが終わったところで」

「最高! どう? 部屋、何か困ってることある?」彼は私の背後に目を走らせ、こちらの居心地を本気で気にしているみたいだった。

「大丈夫です。ありがとうございます」

「よかった。今夜六時に、共有スペースで歓迎の集まりがあるんだ。大げさなものじゃなくて、ピザを食べながら近所の人と顔合わせするだけ」笑顔は温かく、視線はまっすぐなのに優しい。「看護プログラムだよね?」

「はい」私は頷き、故郷で医療に興味があると言うたびに返ってきた、あの見下すような反応を身構えた。

けれどダニエルの目はぱっと明るくなった。「それは素晴らしい! この棟には看護の学生が何人もいるよ。ここのプログラムは本当に強い」彼はキャンパスマップとオリエンテーションの日程表を手渡した。「青い部分が看護学生向けのリソースだ。勉強会、チュータリングのラボ、シミュレーション施設とかね」

私は彼の熱意に驚きつつ書類を受け取った。「ありがとう」

「どういたしまして。何かあったらいつでもどうぞ。俺は112号室だ。ステイトへようこそ!」最後ににっこり笑うと、ダニエルは次の部屋へ向かった。

ドアを閉め、手の中の書類を見つめた。評価もない。私の能力や興味を疑う視線もない。ただ要点だけの情報と、心のこもった歓迎の言葉。

……これは、慣れるまで時間がかかりそうだ。


その日の夕方、階下へ降りてみると、寮の共用スペースは活気でざわめいていた。ちぐはぐな家具に学生たちがだらりと腰を下ろし、テーブルにはピザの箱が散らばっている。空気は会話と笑い声で満ちていた。

「ジュリア!」呼び声が飛ぶ。赤い巻き毛の小柄な女の子が、勢いよくこちらへ駆け寄ってきた。そのエネルギーに圧倒されそうになる。「あなたがジュリアよね? 私、アンバー! ルームメイト!」

「あ、えっと、こんにちは」私は急に気恥ずかしくなって答えた。「着いたとき、いなくてごめんね」

「全然!」彼女は、群れの序列では考えられないほどの気安さで私の腕に自分の腕を絡めた。「ほら、ほかの看護の学生たちと座る席、取っておいたの!」

返事をする間もなく、アンバーは窓際に集まっている学生の一団へ私を引っ張っていく。彼女は矢継ぎ早に、名前と顔を次々紹介した。誰もが心からの笑みを浮かべ、輪の中に場所を作ってくれる。

「ジュリアは北カリフォルニア出身なの」アンバーが皆に告げる。「レッドウッドの近く!」

「それ、最高じゃん」トレヴァーという名の男の子が言った。「きっと綺麗なんだろうな」

「うん。すごく静かで」私はうなずく。少なくとも景色はそうだった。人間関係は、また別の話だ。

「どうして看護を選んだの?」リサという女の子が尋ねた。好奇心に輝く目で、そこに値踏みの色はない。

「昔から、癒やすことに興味があったの」私は説明し、少しずつ肩の力が抜けていく。「八歳くらいのとき、野良犬が、具合が悪そうなときに決まって特定の植物を食べてるのに気づいて。気になって、どの草を選ぶのか観察するようになった。そうしたらある日、前足が腫れて化膿してるリスを見つけたの。犬が食べてた草を思い出して、摘んでリスに差し出した。それを三日間食べさせ続けたら、四日目には感染がすっかり引いたのよ」

私は言葉を切り、周りの視線が一斉に集まっているのを意識した。

「待って、子どもの頃に野生のリス治したって、本気?」トレヴァーが身を乗り出す。「すげえ……!」

リサも興奮気味にうなずいた。「それ、ただの興味じゃないよ。なんていうか……天性の才能って感じ。ちっちゃい森のお医者さんじゃん!」

皆が笑い、私はその記憶に引き寄せられるように微笑んでしまった。変だと言われもしない。からかわれもしない。むしろ、本気で感心されている。

「すごいね」アンバーが言った。「私なんて、そんな背景ゼロだよ。お母さん不動産屋だし。医療に一番近かったの、咳止めシロップ飲まされたくらい!」

また笑いが起こり、驚いたことに、私も声を立てて笑っていた。

それから一時間ほど、授業のこと、教授のこと、臨地実習のこと、キャンパス生活のことを話した。誰ひとり私を変人扱いせず、興味を疑いもしない。彼らは私の考えを聞きたがり、私の知っていることを価値あるものとして受け止める。その事実は奇妙で、そして胸が解き放たれるほど心地よかった。


「明日はいよいよ歓迎式典だよ!」星空の下、寮の建物へ戻る道すがら、アンバーが弾む声でまくしたてる。「学部長の話は永遠に続くけど、そのあと卒業生のスピーカーがめちゃくちゃすごいの」

「へえ?」私は答えた。さっきまでの気楽な一体感が、まだ頭のどこかで反響している。

「そう! マシュー・コリンズ。とんでもなく優秀なんだって。四年のところを三年で卒業したし、十六歳でここに入った天才みたいな人」アンバーの目がきらきらと輝く。「で、今まだ二十歳そこそこなのに、もう南オレゴンのスプリング・バレー群のアルファなんだって!」

私は歩道でつまずきかけた。「彼は――」危うく口を滑らせそうになり、言い直す。「アルファ? もう?」

「うん! しかも完全に独り身!」アンバーは意味ありげに眉を上下させた。「運命の番がまだ見つかってないらしいよ。最高の彼氏候補じゃない?」

「すごいね」私は平坦に言った。アンバーは私の温度の低さに気づかない。会ったこともないアルファへの恋愛妄想に夢中だ。

理解できるはずがない。たった三か月前、私は自分の運命の番に正式に拒絶されたばかりだ。天才アルファが独身かどうかなんて、どうでもいい。机の上に積まれた高度な薬理学と患者ケア倫理の新しい教科書のほうが、どんな恋愛の可能性よりも、はるかに魅力的に見えた。

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