チャプター 5

ジュリア視点

「やっと戻ってきた!」寮に帰るなり、アンバーが声を弾ませた。「遅すぎるって。ずっとティッシュを顔に当てっぱなしだったんだから」

私はさっきの出来事が頭から離れないまま、彼女の切り傷に軟膏を塗った。「ごめん、並んでて」

「なんか変だよ」アンバーは私の顔を覗き込んだ。「ほら、赤い。走って戻ってきたの?」

「ううん、ただ……」言いよどむ。「保健センターで、寝つきのアドバイスを誰かに偉そうにして……自分で自分を笑っちゃうようなことを」

アンバーが吹き出した。「そういうこと気にするの、あんたくらいだよ。ほら、式典に遅れる!」


満員の講堂の中で、学長が新入生を迎える挨拶を始めた。卓越だの機会だの、聞き慣れた美辞麗句が並ぶ。私は半分しか耳に入っていなかった。頭の中では、さっきの保健センターでの場面が何度も巻き戻されていた。

「そして次に」学長が告げる。「……マシュー・コリンズ氏をお迎えします!」

拍手の波のなか、見覚えのある人影が壇上へ歩み出る。息が止まった。保健センターにいた男だ。マシュー・コリンズ――スプリング・バレーの群れのアルファ。

羞恥で頬がかっと熱くなる。私はさっき、アルファに――しかも救急医療の専門家に――睡眠に効く薬草だの何だのを講釈してしまったのだ。自分を何様だと思っていたんだろう。きっと彼には、知識より自信だけが先に立つ一年生に見えただろう。

けれど彼の視線が客席をなぞると、一瞬だけ私のあたりで止まった気がした。認識と興味がちらりと灯るのを見た――そうとしか思えない――その直後、彼は話し始めた。

マシューの声が講堂を満たす。大きいわけではないのに、自然と人の注意を奪う。音量ではなく、そこに「いる」という存在感そのものが、聴衆を従わせていた。私も気づけば身を乗り出していた。抗いがたい吸引力に、心が囚われる。

「医療という仕事は、技術的な知識だけの話ではありません」低い声がホールに響き渡る。「もっと根本にあるのは、最も弱った瞬間の人々が、あなた方の手に託す神聖な信頼です。医師になるにせよ、看護師になるにせよ、あるいは別の医療職に就くにせよ、あなた方は生命の始まりと終わり、その間のすべてを目撃することになる」

癒やすこと、ひとりずつ患者の人生に違いをもたらすこと。彼がそれを語るときの情熱は疑いようがなかった。看護という仕事を、医師の下位としてではなく、同じくらい不可欠なケアの要として描くその言葉に、私は自分の選んだ道を誇らしく感じ、胸がいっぱいになった。

「病院のベッドに横たわり、痛みと恐怖に震えている人にとって、あなたがそこにいることが、絶望と希望の分かれ目になることがあります」マシューは続け、視線を客席へ巡らせた。「投与する薬は確かに重要です。だが同じくらい、あなたの思いやり、細部への注意、そして自分で声を上げられない人のために声を上げる意志が重要なのです」

壇上を支配する彼を見つめながら、すべてが腑に落ちていった。揺るぎない自信、自然な権威、人々が彼の言葉に思わず身を寄せてしまうあの空気――それは成功した医師の資質というだけではない。生まれながらにして導く者、アルファの狼の徴そのものだった。

「オレゴン州南部にある我々の医療センターでは」マシューは言った。「救急医療において、伝統的な実践と最先端の技術を統合する全人的なアプローチを導入しています……」

息がひゅっと詰まる。オレゴン州南部。医療センター。以前の会話でアンバーが口にした言葉が、一気に蘇った。『オレゴンのどこかの群れのアルファだって。たしかスプリング・バレーとか』

心臓が落ち着きなく胸の内で跳ねる。こんな偶然があるだろうか。国内にいくつも医学校があるのに、私が選んだここで、別の群れのアルファが卒業生として壇上に立つなんて。胸が高鳴るのに、同時に怖かった。アルファが私に気づいた。それも、ただのアルファじゃない。私と同じ医療の哲学に、本気で関心を寄せているように見える男に。

だが、すぐに現実が容赦なく叩きつけてきた。彼はアルファだ。別の群れを率いるリーダー。たとえネイサンの条件付きの拒絶によって、私はまだ形式上は元つがいに縛られているのだとしても――いや、仮にそうでなかったとしても――アルファが、妙な薬草いじりを趣味にしている、ごく普通のベータの娘と付き合うはずがない。ましてや、拒絶されたつがいとしての烙印を背負う女など、なおさらだ。

(彼は、あなたの手の届く相手じゃない)と自分を叱りつける。(馬鹿げたことを考えるな)

マシューの視線が折に触れて客席をなぞるたび、私は顔を伏せた。あの洞察に満ちた青い目が、また私の目を見つけてしまうのが怖かった。頬が赤くなるのを――それどころか、彼の気配に狼が目に見えて反応してしまうのを――自分で止められる自信がなかった。

マシューが熱狂的な拍手の中でスピーチを終えると、アンバーが興奮した様子で私の腕をつついた。「ねえ、信じられないくらいすごくない?」彼女は囁いた。「あれだけの人なのに、あんなに格好いいなんて反則でしょ。普通、頭のいい人って身なりに構わなくなるじゃない?」

私はうなずくのがやっとだった。声を出すのが怖かった。

―――

式典が終わると、学生と教職員がレセプション会場で談笑しはじめた。アンバーと私は学内のカフェに行こうと話していた、その時だった。突然、強い手が私の口を覆い、別の腕が腰に回される。私は乱暴に後ろへ引きずられ、悲鳴は掌に押し潰されてくぐもった音になったまま、人混みから引き剥がされた。

必死にアンバーを呼ぼうとし、指先を彼女の遠ざかる背中へ伸ばした。けれど唇に固く押しつけられた手のせいで声は外へ漏れない。ほんの数秒で、私たちの間に人の波が閉じ、アンバーは視界から消えた。私は薄暗い廊下へと引き込まれていく。

捕まえた相手に身をよじって抵抗する私の中で、恐怖が一気に膨れ上がった。ようやく解放され、くるりと向きを変えさせられた瞬間、心臓が胃の底へ落ちるようだった。そこに立っていたのはネイサンだった。抑えきれない怒りを湛えた目がぎらつき、息を荒げながら私を見下ろしている。

「ネイサン?」私は喘ぎ、腕を引き抜こうとした。「どうしてここにいるの? 何してるのよ」

彼は掴んだ手を緩めない。指が皮膚に食い込み、痛いほどだ。見た目は記憶のままだった――冷たく完璧な美しさ。金茶の髪は隙なく整えられ、高価な服が鍛えられた体つきを強調している。だが、その目にある憎悪は新しい。あるいは、私がこれまで見たことがないほど濃いものだった。

「それはこっちの台詞だ」彼は唸るように言った。通りがかった人間には聞こえないほど低い声なのに、怒りだけははっきり伝わってくる。「恥さらしが。特に、あの講演者と一緒にな」

私は信じられずに彼を見つめた。「恥さらしなんてしてない! それに、どうして――」

「式の前、お前があいつと話してるのを見た」ネイサンが噛みつくように遮った。「気づかないとでも思ったか? ったく……お前がこの場所でうろついてるのを見るだけで胸糞悪い。しかも、あの講演者に媚びへつらって、必死な――」

「うろついてもないし、媚びてもない!」私は言い返した。最初の衝撃は怒りに置き換わっていた。「ここは私の学校よ、ネイサン。私がここにいるのは当然の権利でしょ」

彼の目が危険なほど細くなる。「勉強のために来るのは許した。だが……他の連中と遊び半分に、なんてことは許していない」吐き捨てるように言い放つ。「監視していると思え。お前は、嫌でも俺たちの群れの顔なんだ」

私の堪忍袋の緒が切れた。拒絶しておいて、今さら私生活まで口を出す権利がどこにある?「誰と話すかなんて……私のプライベートのこと全部、あなたが口出しする権利はない」

ネイサンの顔が陰り、距離を詰めてくる。私は壁際へ追い込まれた。「あるさ。俺にはその権利がある」彼の低い声が迫る。「俺はお前のアルファだ。そして――もっと重要なのは――俺はお前の運命のつがいだ」

この男の厚かましさには呆れるしかない。絆を拒絶しておきながら、所有権を主張するつもりなのか。私は小さく首を振った。怒りと呆然で言葉が出ない。拒絶のことを突きつけようとした、その瞬間――背後から深く、抑えの効いた声が割り込んだ。

「彼が、君の運命のつがいだと?」

私たちは同時に振り返った。数歩先に立っていたのはマシュー・コリンズ。表情は読み取れないままだった。

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