チャプター 59

ジュリア視点

バースツールから立ち上がり、客用の居室へ戻ろうとしたその瞬間、部屋が不意にぐらりと傾いた。座っている間はあれほど確かだった脚が、急に自分の体重を支えきれないものになってしまったみたいで、私はよろめきながら前へつんのめり、空をつかむように手を伸ばした。

床に倒れ込む前に、強い腕が私を受け止めた。

「おっと」耳元で声がする。「落ち着いて」

酒に霞んだ視界の向こうで、私はジェイソン・ミラーだと気づいた。狼の群れの見学ツアーで少しだけ会った、警備チームの男。慣れた手つきで私を支え、片腕で背中を抱え、もう片方の手で肘を押さえてくる。

反射的に振りほどこうとした――長年の癖で、予期...

ログインして続きを読む