チャプター 6

ジュリア視点

言葉は、止める間もなく口からこぼれ落ちた。

「ええ、あの人は――だった――私の運命の伴侶よ。でも、拒絶されたの」

自分の耳にすら妙に響く声だった。早口で、まるで必死に弁解したがっているみたいに。ネイサンの怒りに歪んだ顔と、マシューの感情の読めない表情のあいだへ視線を行き来させるたび、心臓が肋骨を叩くように暴れた。どうして私は、こんなにもマシューに事情を説明しなければならない気がしているのだろう。ほとんど知らない相手なのに。

だが、カイアはカイアで別の思惑があるらしかった。拒絶のあと数か月、沈黙を保っていた彼女が、突然、鋭く目を覚まし、警戒を研ぎ澄ませていた。その意識は、マシュー・コリンズにのみ、すべて注がれている。

ネイサンの目が危ういほど細くなる。「これは群れの内部の問題だ」短く切り捨てるような口調で言った。「おまえには関係ない」

マシューは思案するようにうなずいた。その落ち着きは、怒りをかろうじて押し殺しているネイサンとはあまりに対照的だった。マシューはネイサンへ向き直る。「君は、彼女のアルファだと言ったね?」

「そうだ。こいつはスター・シャドウ群れのものだ」ネイサンは、胸を反らし、確信に満ちた得意げな調子で言い切った。その言い方が、背筋をぞわりとさせる。肩をいからせ、マシューの身長と威圧感に並ぼうとしたが、どう見ても届いていない。

マシューの表情が、丁寧な好奇心に近いものへと変わった。「興味深い。私の知る限り、スター・シャドウ群れのアルファは、もう二十年以上その座にいるはずだ。だが君は、どう見ても二十歳を過ぎたようには見えない」

思わず小さく鼻で笑ってしまい、ネイサンから毒のこもった睨みを向けられた。

「父親だ!」ネイサンが噛みつくように言い、頬が赤くなる。「俺はアルファの後継だ」

「なるほど」マシューは大げさに理解したふうに言った。「気の短い次期アルファというわけだ。ところで、君もこの大学の学生かい?」口調は雑談めいているのに、底に冷たい鋼が潜んでいた。

ネイサンの顔がさらに紅潮する。「余計なお世話だ」

私は小さく首を振った。「この人、ここの学生じゃないわ」

廊下の端に、好奇心に駆られた学生たちが小さな人だかりを作り始めていた。ひそひそと囁き合い、こちらを指さしている。その中にアンバーもいて、心配そうに目を見開いていた。

マシューの雰囲気が変わり、真剣さが前に出た。「君が脅しているその女性は、私の大学の卒業生だ」声は低く落ちたが、声量に頼らずとも権威が行き渡る音域だった。「関係者でもない人間が、廊下で彼女を追い詰めている場面に出くわすのは、正直、愉快ではない」

予想もしなかった安堵が、胸の奥から波のように広がった。ネイサンに対して、誰かが私をかばったことなんて一度もない。父も、きょうだいたちも、群れの誰も。あまりの新鮮さに、言葉が出なくなる。

「理由があるなら聞こう」マシューは続けた。「だが、学生に嫌がらせをするためにここにいるだけなら、警備を呼んで退去してもらうこともできる」

ネイサンは今にもマシューに飛びかかりそうだった。拳を握りしめ、腕が震える。私は反射的に一歩引いた。あの爆発しやすい気性を知っている。でも、マシューの立ち姿――さりげないのに、はっきりとした何か――が、ネイサンをためらわせた。

マシューは動いていない。気だるげな姿勢も変わらない。なのに、周囲の空気だけが、すっと別物に切り替わった。露骨なアルファの威圧ではない。見守る学生たちに気づかれるようなものでもない。それでも、ネイサンに考え直させるには十分だった。

「相手を間違ってるぞ」ネイサンが吐き捨てた。マシューと私にしか聞こえない低さで。

「いや」マシューは薄い笑みで返した。「むしろ、よく知っている。君の父君とは懇意でね。地域のいくつかの委員会で一緒に務めている」意味ありげに間を置く。「拒絶された伴侶に嫌がらせをする息子を見て、父君はどう思うだろう? 次期アルファに求められる振る舞いとは、ずいぶん違うんじゃないか」

ネイサンはさっと血の気を失った。運命の伴侶を拒むことは稀ではあるが、状況によっては認められている。だが、拒まれた伴侶に執拗につきまとうとなれば話は別だ。それは月の女神の意思に逆らう行いと見なされかねない――将来の統率者としての立場さえ危うくする、重大な罪。

「そんなこと……しないだろ」ネイサンは囁いた。声には怒りと恐怖が入り混じっていた。

「する」マシューはあっさり答えた。「さて、君はこの若い女性に謝罪するべきだ。それと、彼女が四年間ここで学ぶあいだ、このキャンパスに戻ってきて彼女を煩わせないと約束しろ」

ネイサンは反論しようとしているようだった。右手がぴくりと動き、殴りかかりたいのを堪えているように見える。あの癖は知っている――制御を失う直前に、彼が必ずやる仕草だ。

マシューも気づいたのだろう。次の言葉には静かな脅しが滲んでいた。「私相手にそれを試す気は、起こさないほうがいい」

マシューから放たれる力に、私はまた一歩下がった。私の狼は強いアルファの気配に本能で反応したが、警戒はしても怯えはしない。だがネイサンは、その見えない圧に目に見えて萎れていった。

「謝れ」マシューは念を押した。「今すぐ」

ネイサンの顔が屈辱で歪む。彼は私に向き直り、憎悪に燃える目を向けた。「邪魔をして悪かった」吐き捨てるように言う。言葉の一つ一つが白々しさを滴らせていた。

「それだけか?」マシューが促す。

ネイサンは顎をきつく噛みしめ、歯が砕けるのではと思うほどだった。「……それから、もうキャンパスには来ない」

マシューは一度だけ頷いた。「よし。車まで送っていく。きちんと外へ出るのを確認する」

「必要ない」ネイサンは唸った。

「必要だ」マシューは返した。その口調は、提案ではないと明確に告げていた。

マシューに連れて行かれる前、ネイサンが私の視線を捉えた。目が絡み合い、私は久しく眠っていた、だが馴染み深い感覚を覚えた――私たちのあいだに、心のリンクが開く。

『取り決めを忘れるな、ジュリア。卒業したら戻ってくるんだ。これは何も変えない』

精神に響く声には毒が混じり、私はぞくりと身を震わせた。拒んだあとでさえ、近距離なら心のリンクができる程度の繋がりは残っている――本来ならそうあるべきだったものを、残酷に思い出させる鎖だ。

ネイサンは最後にマシューを睨みつけると、踵を返して荒々しく立ち去った。マシューは落ち着いた歩調で後を追う。姿勢は力みがないのに、目だけは油断なく周囲を見ていた。

私は壁にもたれ、脚がひどく震えていることにようやく気づいた。学生たちの群れが散っていく。騒ぎが終わったと知って、顔には露骨な落胆が浮かんでいた。

アンバーが駆け寄ってきた。「今の、いったい何なの?」興奮と心配で目を見開いたまま詰め寄る。「あの男は誰? それに、どうしてコリンズ先生が、まるで白馬の騎士みたいにあんたを庇ったの?」

すぐには答えられなかった。起きたことの衝撃で、頭がまだぐらついていたのだ。誰かがネイサンに逆らった――彼を引き下がらせ、形だけでも謝らせたのだから。

「……複雑なの」私はようやくそれだけ絞り出した。

「あれは複雑とかじゃなくて、最高に色っぽかったってやつ」アンバーは囁き、マシューが消えていった廊下の奥へ視線を投げた。「コリンズ先生がさ、あのクズを一瞬で黙らせたでしょ? あんなの見たことない」

私もない。だからこそ、不安だった。マシュー・コリンズは、ネイサン・レイノルズを敵に回したのだ。そしてネイサンは、侮辱を忘れる男ではない。マシューが与えてくれた一時の庇護は、いずれ別の厄介事として私の前に立ちはだかるだろう。

それでも今だけは、この短い瞬間だけは、私は自分に許した。何年も味わってこなかった感情――ネイサンの怒りから守られているという安堵を、たとえそれが束の間でしかなくても。

前のチャプター
次のチャプター