チャプター 60

マシュー視点

俺はジュリアを見つめたまま、言葉を失っていた。彼女が口にした提案を理解しようとした途端、頭の中で何かがぷつりと切れたようだった。夜の空気が急に濃くなり、息を吸うのさえ苦しい。

その言葉は、冷たい夜気の中に宙づりになっていた。ここまで完全に言葉を奪われたのがいつだったか、思い出せない。会話が思いがけない方向へ曲がってしまい、思考だけが必死に追いすがる。

彼女は、俺がダニエルに惹かれていると思っている。ダニエル・ライトに。いったいどうしてそんな結論にたどり着く?

頭の奥で、俺の狼であるハティが皮肉っぽく笑い出した。『なるほど、実に独創的な誤解だな。何世紀も生きてきて、いろいろ...

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