第19話

アルファ・ニコラス

「ニッキー! ニッキー。どこにいるんだ?」

兄貴の声がガンガン痛む頭に響き渡り、俺は飛び上がった。身を起こすと、首筋の凝りに思わず顔をしかめる。一体ここはどこだ? あたりを見回し、すぐに思い出す。メイトが去った後、執務室に座り込んでいたこと。そして、二本の空になったウイスキーのボトルが、頭がサンドバッグにでもされたかのように痛む理由を物語っていた。「クソッ!」俺はうめき声を漏らしながら伸びをして立ち上がり、執務室に併設されているバスルームへと向かう。小便とシャワーが必要だ。幸いなことに、緊急時用にそこには着替えも置いてある。

「ニック、いいから答えろ!」

ちくしょう、ウ...

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