第34話

アルファ・ニコラス

シェーンに走りに行くと念話で手短に伝え、俺は後ろを振り返ることなく森へと走り出した。彼も来ると言い張ったが、すぐに断る。俺が彼に連絡したのは、彼が俺のベータであり、俺が不在の際には責任者となるからだ。その申し出はありがたいが、少し一人の時間が必要だった。

ストームを解き放つと、彼は持てる力のすべてを使って駆けた。森を嵐のように駆け抜ける彼から怒りが溢れ出しているのが感じられる。木々の間を疾走し、風が俺たちを鞭打つように吹き抜け、足元で地面が砕ける音を聞いていると、彼の興奮がゆっくりと静まっていくのを感じ、それと共に俺自身も落ち着いていった。ボニーにすべてを追体験させる...

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