第42話

ボニー

今、私は地下牢の一室に立っている。周りには恐ろしげな狼たちが大勢いて、目の前には私を殺そうとした男の一人が座っている。なのに、私の頭の中は可哀想なトニーのことでいっぱいだ。彼が今、何を感じ、何を考えているかなんて、想像もつかない。けれど、きっとその胸には途方もない憎しみと悲しみが渦巻いているのだろう。それなのに、彼はこうしてニックを手伝って私の問題に対処してくれている。わざわざ私の様子を見に来てくれたし、ニックと冗談を言えるくらいには怒りを抑え込んでいるのだ。

オパールには会ったことがない。でも、少し聞いた話からすると、彼女は素晴らしい女性だったようだ。そして、トニーがとても素敵...

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