第60話

アルファ・ニコラス

「一体全体、ここで何が起こってやがるんだ? ここ数日で、過去数ヶ月より多くのメイトが見つかってるじゃねえか。水にでも何か入ってんのか、どうなんだ?」ロビーは、新たに見つかったメイトたちの話を耳にして、警備室から出てきながら不満げに言った。部屋のあちこちからクスクスと笑い声が聞こえるが、トニーだけは独房の中にいる自分のメイトを見つめたまま、微動だにしなかった。

「そうに違いない」コルトが不機嫌そうに唸る。だが、それもそのはずだ。こいつはとんでもない女好きで、俺が知る限り、自分のメイトを見つけることなど急いでいなかった。誤解しないでほしいが、一週間前の俺なら彼に同意していただ...

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