第61話

アルファ・ニコラス

執務室へ向かう途中で目にした光景に、俺の心にはずっしりと罪悪感がのしかかった。トニーが、彼のすぐそばに寄り添うロージーと共に歩いている。その周りを数人の護衛が取り囲んでいるが、彼らを守っているように見えて、悲しいことに、そうではない。悲しいことに、彼らは他の皆を守りつつ、ロージーを監視しているのだ。ロージーがトニーのメイトであることは確かだが、我々が全てを把握し、彼女が脅威でないと確信できるまでは、慎重にならざるを得ない。

こういう状況では常に慎重になるものだが、最近の出来事を考えれば、我々はより一層警戒を強めている。彼女はおそらく無実だろうに、こんな扱いをされるのは不...

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