第74話

アルファ ニコラス

一刻も早く俺の番のもとへ向かいたかったが、それよりも念入りにシャワーを浴びる必要があった。あの哀れなクソ野郎ローワンの返り血が身体にはねていたし、奴らの匂いも俺に残っているだろうと分かっていた。ボニーにそれを嗅ぎ取られたくなかった。あいつらの欠片たりとも、二度と彼女に近づけたくない。

ボニーと初めて番になってから、一人でシャワーを浴びるのはこれが初めてだ。正直言って、気に入らない。彼女のあの極上の身体なしでのシャワーは、ただ退屈なだけで、できるだけ避けたいと心底思う。幸い、身体を清めるのにそう時間はかからなかった。シャワー室を出た瞬間、俺の番の匂いを捉える。彼女はドア...

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