第85話

アルファ・ニコラス

この地獄のような穴の入り口にたどり着き、体を乗り出すと、二十人ほどの部下が戸口全体を取り囲むように立って守りを固めていた。さらに別の二十人ほどが、女子供を移動させる手伝いのために待機している。その光景に、俺は瞬時に誇りで満たされた。ほとんどの者は、なぜ自分たちがここにいるのかさえ分かっていないだろう。だがそれでも、彼らはここへ来て、守り、戦う準備を整えていたのだ。

その時、戦闘の音が一切聞こえないことに気づいた。辺りは不気味なほど静まり返り、小さな話し声がひそひそと聞こえるだけだ。俺は素早く周囲を見渡す。「全員片付けました、アルファ。ええ、この群れのアルファを除いては...

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