第10章

翌日。

林原撫子は誰かに肩を揺すられて、ぼんやりと目を開けた。昨日、点滴を替えに来た看護師だった。

目が合うと、看護師は控えめに笑う。

「林原さん、本日で退院です。このベッド、すぐ新しい患者さんが入るので……お荷物、まとめてくださいね」

「……はい」

撫子は返事をしてから、ようやく状況を飲み込んだ。目をこすっても、頭の奥がまだふわふわする。

昨夜は村木原矢と理想だの目標だのを語り合い、気づけば深夜まで引っ張っていた。自分がいつ病室へ戻って、いつベッドに潜り込んだのかさえ曖昧だ。

撫子は靴を履きながら言った。

「わたし、隣の病室で付き添いをします。簡易ベッド、お願いできますか」...

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