第105章

松谷石矢はびくりと肩を震わせた。村木グループが財界で占める立ち位置を思い出した瞬間、さっきまでの横柄さは跡形もなく消え失せる。平静を装い、声色だけを柔らげた。

『村木様、これは我々の家庭内の問題です。どうか口を挟まないでいただけませんか』

『彼女のことは、俺のことだ』

村木原矢は林原撫子を背に庇い、言い切った。言葉が床に叩きつけられるように重い。

『この茶番、ここで終わりだ』

衆目の中、村木原矢は一歩も退かず、撫子を守る位置を崩さない。

松谷石矢はその光景に腹の底から煮えくり返り、全身を震わせた。胸が大きく上下し、村木原矢を睨む目には悔しさが滲む――が、乱暴に出る勇気はない。

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