第107章

『それは……寧々はまだ小さいですし……』

林原母はほとんど反射的に言い返した。だが口にした直後、自分の言葉が筋の通らないものだと気づいてしまう。

林原寧々は林原撫子より二つ下なだけで、結婚適齢期には十分入っている。なのに自分たちは、撫子をここへ嫁がせると決めた時点で、心の奥では「この娘はもう切り捨ててもいい」と思っていたのだ。

――身勝手。

林原撫子の胸の奥が、きゅっと酸っぱくなる。何度傷つけられても、どこかで両親が良心に目覚めてくれることを期待してしまう自分がいる。

別に寧々と愛情を奪い合いたいわけじゃない。欲しいのは、たった一言の謝罪だけ。

けれど、その簡単な願いが叶うことは...

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