第109章

林原撫子が想像していたのとは少し違って、チャリが案内した道は――小さな食べ歩き通りだった。

路地の入口に足を踏み入れた瞬間、揚げ物の油、香辛料、甘いタレの匂いがいっせいに鼻先へ押し寄せる。人出も多い。さっき軽い服に着替えておいて正解だった。でなければ、まともに歩くのもひと苦労だっただろう。

お腹はぺこぺこなのに、屋台のものはどれもあまり食べたことがない。

撫子は眉をきゅっと寄せ、どれにするか迷っている顔になった。

一方の村木原矢は落ち着いたまま、歩きながら言う。

『前にこっちで捜査したとき、うまい麺の店があったんだ。ちょうど来たし、食べてみるか?』

撫子はこくりとうなずき、にこっ...

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