第114章

 彼はもう一度、メモ用紙の文字を見返した。林原撫子がこれを書き残したときの、罪悪感と不安がありありと想像できる。

 村木原矢は迷わなかった。車のキーを掴むなり、外へ飛び出す。

 真っ先に思い浮かんだのは、林原撫子が自分の実家へ戻った可能性だった。彼はすぐさま車を走らせ、林原家のマンション群がある方角へ向かった。

 走行中、村木原矢は険しい顔のままスマホを取り出し、一本の電話をかける。

『手段は問わない。広報に指示して、今ネットに出回ってる「林原家の令嬢が逃げた」って件、きっちり処理しろ。悪質なデマと誹謗中傷は全部ログを押さえろ。まとめてブチ込んで、言葉ってもんを教えてやれ』

 受話...

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