第118章

村木原矢は玄関をくぐった瞬間から眉間に皺を寄せていた。警察署では仕事が山積みだ。よほどの急用でもない限り、家からこんなに電話が鳴り続けることはない。

それなのに、昨日から今日にかけて未着信が少なくとも百件以上。――母がニュースを見て取り乱したのだろう。

使用人の声が途切れるのと同時に、村木母と白石七海がそろって彼の姿を捉えた。

玄関のシャンデリアが、すっと伸びた長身をいっそう細長く引き立てる。眉宇には、まだ冷えた気配が残っていた。

視線をリビングへ滑らせる。ソファに斜めにもたれた村木母と、その傍らに立つ白石七海が一目で見えた。

『母さん』

薄い唇がわずかに動く。声には感情がほとん...

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