第12章

男がいくら叩いても返事がないせいか、苛立ちはじわじわと濃くなっていった。ついにはドアスコープに顔を押しつけ、こちらを覗き込もうとする。

――コン、コン。

ノックはやがて、ドン、と鈍い衝撃に変わる。殴りつけるような音が続き、最後には――ガンッ、と蹴りが入った。

林原撫子はびくりと肩を跳ねさせ、とっさに背中でドアを押さえた。震える手で傍らのスマホを掴む。ひび割れた画面に表示されていた時刻は、午前3時。

瞼がぴくりと跳ねた。

――こんなに長く、眠ってたの?

考えている余裕はない。林原撫子は乾いた唇をきゅっと結び、すぐさま110番にかける。呼び出し音は短く、すぐに繋がった。声を落とし、早...

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