第127章

林原の父が林原寧々へ向ける視線には、ほんのわずかな――けれど確かに、冷えたものが混じっていた。彼は最初から無条件に寧々を可愛がっていたわけじゃない。家の空気を丸くし、ときには林原家に都合よく働く駒として置いているだけ。

その駒が言うことを聞かないなら、いつでも取り替える。そういう男だ。

林原撫子はそれを見届け、胸の内でふっと冷笑した。

この家は、表面ほど仲良しこよしじゃない。

食事を終えると、撫子は林原聡と一緒に、林原家の長女の実家を後にした。

車に乗り込むなり、聡が彼女を見て、気遣うような声で言う。

『撫子、会社に入って困ったことがあったら、いつでも電話しろ。俺がいる。誰にもお...

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