第128章

林原撫子は小さくうなずき、柔らかな笑みを浮かべた。

『承知しています。会社はとても良いところです。ただ、少し個人的な用事がありまして……しばらく勤務できません』

向かいの女性は眉間に皺を寄せ、撫子が差し出した退職届を指先でつまみ直しながら、もう一度食い下がる。

『もし世間の声が理由なら、会社がきちんと対応します。うちは社員のメンタルケアも大切にしていますから』

引き留めたい気持ちは見えた。けれど林原撫子は、提示された条件をどれもふわりと受け流し、きっぱりと退けた。

ここまで来れば、女性も折れるしかない。退職届をいったん受け取り、事務的な口調に切り替える。

『わかりました。こちらで...

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