第130章

日が完全に沈みきったころ、黒いベントレーがレストランの入口にすっと滑り込むように停まった。

林原撫子がシートベルトを外した途端、林原聡も同じく車を降り、さっと回り込んで彼女のドアを開けてくれる。

『聡お兄さん、もう帰って休んで。夜はわたし一人で帰れるから、気にしなくていいよ。今日はもう十分疲れてるでしょ』

今日の撫子は、聡お兄さんから注がれた優しさが多すぎて、正直どう受け止めていいかわからなくなっていた。

聡は「追い返されている」ことを察したのだろう。子どもの頃みたいに親しげに頬をつまみ、『わかったわかった。友だちと飯でも食ってこい。俺は先に――』と言いかけて、

ふと、視線を遠くへ...

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