第131章

兄の言葉に背中を押されたのか、林原撫子は村木原矢へ視線を向けた。原矢の顔にも、真剣さがありありと浮かんでいる。

撫子は唇をきゅっと結び、杯を持ち上げた。酒の代わりに水で。

『じゃあ……聡お兄さんと原矢に、ありがとう。私、グループでちゃんと居場所を作れるように、絶対頑張る』

「チン」と軽い音が鳴り、張り詰めていた空気が少しずつほどけていく。

林原聡は無意識に、ワイングラスの縁を指先でなぞっていた。向かいで目を合わせて笑う二人に視線を落とすと、瞳の色がゆっくり沈んでいく。

村木原矢が撫子の皿に料理を取り分けるとき、指先は彼女の手の甲を避けるようにして、それでも寸分違わず皿の縁を支える。...

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