第144章

電話の向こうで奥田元哉が、ぴたりと固まった。手にしていたコーヒーが、危うく書類の上にこぼれそうになる。

『村木様……? つまり、林原グループに『潜り込め』と? でも林原グループって、今の規模なら、わざわざそこまで手間をかける必要あります?』

『聞くな。言ったとおりにやれ』

村木原矢は通話を切ると、ソファに身を沈め、窓の外を眺めた。さっきの林原撫子の瞳に宿っていた光を思い出し、口元がまた勝手にゆるむ。

――見ものだな。林原の親父が、まだ『使える人間がいない』なんて言い訳で、あいつを困らせられるかどうか。

それから三十分後。

奥田元哉は四人の社員を会議室に呼び集めた。

四人とも背筋...

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