第18章

雨宮蓮二は声を荒らげ、偏執じみた色を隠そうともしない。

林原撫子は彼を見つめながら、胸の底がじわりと苦くなるのを感じていた。

記憶の中の、あたたかくて柔らかな男が――こんな顔で、こんな声で、自分に言葉をぶつけてきたことなど一度もなかった。

もう、何もかも戻らない。戻りようがない。

撫子は視線を落として、ふっと笑う。声には、喜びも怒りも滲まない。

「感情……?」

伏せた長い睫毛がかすかに震え、瞳の奥に薄い影を落とす。

「最初に林原家へ戻ったときはね、まだ馬鹿みたいに信じてた。両親は昔のまま優しくて、あなたも――私と一緒に育って、どんなときも味方でいてくれる人のままだって」

「…...

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