第40章

『警察を呼ぶ? 法に訴える?』

その言葉を聞いた酒場の店主は、まるで天地がひっくり返るほどの冗談でも耳にしたみたいに目を丸くし、隣の男と目を合わせるなり、同時にぷっと噴き出した。

『お嬢さん、世間知らずにもほどがあるな。……せっかくだ、授業してやろうか?』

さっきまで酔い潰れていた男は、もう完全に酔いが醒めていた。唇についた血を乱暴に拭い、店主の肩へ腕を回して林原撫子を挑発する。

『喧嘩売る相手ぐらい調べろよ。俺の従兄の『本当の顔』も知らねぇで来たんだろ。今日はお前の負けだ』

男は舌打ちするように「ちっちっ」と鳴らし、得意げに首を振った。

『通報? 笑わせんな。界隈で聞いてみろよ...

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