第47章
ほどなくして車は静かに停まり、林原撫子はドアを押し開けて降りた。見慣れた屋敷の前に立った途端、胸の奥がじわりと熱くなる。
前にいつ帰ってきたのか、もう思い出せない。
ただ、出ていくときに向けられた、あの侮蔑の顔つきだけは忘れようがなかった。
撫子はしばらく呆けたまま門を見つめていた。そこへ林原聡が降りてきて、彼女の肩をそっと叩く。
彼女の心中を察したように、聡は小さく息を吐いた。声は穏やかだった。
『撫子、行こう』
撫子ははっと我に返り、淡く笑って頷くと、林原聡の後について門をくぐった。
『ただいま戻りました』
玄関に足を踏み入れた途端、聡が家の奥へ向けて声を張った。
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