第49章
雨上がりの清い匂いと、男からふわりと漂う淡いウッドの香りが鼻先で混ざり合う。林原撫子は顔に浮かびかけたぎこちなさを押し込み、ドアを開けて荷物を滑り込ませると、そのまま後部座席へ乗り込んだ。
車内は終始、言葉がない。
撫子は無意識にシートベルトを両手でぎゅっと握り、どこか落ち着かないまま窓の外を見つめていた。
走行は三十分ほど。車がゆるやかに止まったのは、見慣れた屋敷の前だった。撫子は車窓越しにそれを認め、思わず目を見開く。
門の前に、使用人たちが男女に分かれて二列、ぴしりと整列していたのだ。
『これは……』
眉を寄せて呆然とする撫子をよそに、村木原矢がシートベルトを外して降りる。...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
12. 第12章
13. 第13章
14. 第14章
15. 第15章
16. 第16章
17. 第17章
18. 第18章
19. 第19章
20. 第20章
21. 第21章
22. 第22章
23. 第23章
24. 第24章
25. 第25章
26. 第26章
27. 第27章
28. 第28章
29. 第29章
30. 第30章
31. 第31章
32. 第32章
33. 第33章
34. 第34章
35. 第35章
36. 第36章
37. 第37章
38. 第38章
39. 第39章
40. 第40章
41. 第41章
42. 第42章
43. 第43章
44. 第44章
45. 第45章
46. 第46章
47. 第47章
48. 第48章
49. 第49章
50. 第50章
51. 第51章
52. 第52章
53. 第53章
54. 第54章
55. 第55章
56. 第56章
57. 第57章
58. 第58章
59. 第59章
60. 第60章
縮小
拡大
