第50章

彼女は一拍置き、村木原矢と林原撫子へ視線を移した。表情がふっと和らぐ。

『原矢、撫子ちゃん、この前来たときはすぐ帰っちゃったでしょう。今夜はお庭の花がちょうど見頃なの。案内して、少し散歩していらっしゃい』

それを聞いた瞬間、白石七海の肩に置かれていた手がぴたりと止まった。瞳の奥に、驚きが走る。

――お婆さんが、この二人を二人きりに?

じゃあ、私はどこにいればいいの。

顔に浮きかけた嫉妬を必死で押し込み、七海は無理やり口元を上げてお婆さんを見る。

『お婆さま、原矢は景色を楽しむなんて得意じゃないですし、わたしが撫子さんをご案内――』

『いいえ』

七海が言い切る前に、村木お婆さん...

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