第7章

夜のとばりが、ぼんやりと大地を覆っていた。

点滴を終え、林原撫子は痺れの残る手首をくるりと回し、窓の外へ視線をやった。

そよ風が立ち、カーテンがふわりと揺れる。夜気に溶けるその輪郭は、どこか頼りない。

「林原さん、傷はなるべく濡らさないでくださいね。あと数日、安静にしていればきれいに治りますから」

看護師は針を抜いたチューブを片づけながら、穏やかに言い添える。

林原撫子は口元をわずかに引き、こくりと頷いた。

こんなふうに、何の見返りもない気遣いを向けられるのは、久しぶりだ。

胸の奥に小さな温かさが流れ込む。と同時に、重傷を負った村木原矢のことがよぎり、撫子は病室を出かけた看護師...

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