第72章

葉山ななはそこまで思い至ると、顔にほんのわずか、揺らぎが走った。だからそれ以上は深く聞かない。歯を食いしばって、こくりとうなずく。

『……あなたと組む。退院したら、会社に戻って働く』

『いいわ』

林原撫子は小さくうなずき、口元に薄い笑みを含ませたまま立ち上がる。葉山ななに軽く会釈してから、淡々と言った。

『吉報を待ってる』

それだけ告げると、撫子は病室を出た。ベッドの上の女は、呆けたようにその背中を見送り、扉の向こうへ消えていくのをただ眺めていた。

病室の外へ一歩出た瞬間、林原撫子はようやく張り詰めていた神経をほどいた。

葉山ななが林原のお父さんのところで自分の写真を見ていたら...

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