第9章

病院は警察署からそう遠くない。十数分後、林原撫子は到着していた。

電話をかけてきた女警官が駆け寄ってくる。撫子は彼女と視線を交わすなり、息をつく間もなく問いかけた。

「救出された被害者の人たちは、聴取が終わったらご家族に連絡して引き取ってもらうって聞いてましたけど……」

「当初は、その予定でした」

女警官の声は重い。

「でも、電話を受けたご家族の大半が『知らない』って。こちらが調査資料を提示して、ようやく少しずつ迎えに来るようになったんですが……今日になって、今度は多くのご家族から……」

言葉が途中で途切れる。言いづらさが、顔に出ていた。

「被害者の方々は……程度の差はあっても...

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