第91章

前よりずいぶん弱っていた数日前と比べれば、今の葉山ななの顔色は見違えるほど血色がいい。

ベッドの上に腰かけ、手には本。静かで穏やかな佇まいだった。

もしこの光景を林原お父さんが目にしたら、また胸が痛むに違いない。

林原撫子は病室に入る前にマスクをつけていたせいで、葉山ななは彼女を見るなり警戒した。

『……誰?』

『前に会ったでしょう、葉山さん』

林原撫子はひらりと手を振って挨拶代わりにする。

葉山ななは一瞬きょとんとし、すぐに目の前の女を、数日前に自分を訪ねてきた「協力者」と結びつけたらしい。

表情の硬さがわずかにほどけ、本を置いて小さく頷く。

『……どうして来たの?』

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