第96章

『あんた、私が来たくて来たと思ってる? ママに言われたから来ただけよ』

林原寧々は仕立てのいい淡いピンクのミニドレスに身を包み、手にはシャネルの新作バッグまで提げていた。

この無機質なオフィスビルの空気と、彼女だけが見事に噛み合っていない。通りすがりの社員たちが、ちらちらと視線を投げてくる。

見られていることを恥じるどころか、寧々は自信満々に髪をかき上げ、つかつかと林原撫子の前へ出た。甘ったるい声で言う。

『そんな言い方しないでよ。今日はね、招待しに来たの』

『招待?』

撫子は鼻で笑った。――以前も、同じ言葉で呼び出されたことがある。結局、ろくな目に遭わなかった。

『行かない。...

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