第10章

圭也の頭が、ぱしりと叩かれた勢いでわずかに横へずれた。頬の内側を舌で押し、ぎゅっと奥歯を噛む。そもそもB市まで出張して残業なんて、最悪の気分で来ている。

そこへ理由もなく平手打ちだ。

苛立ちが、さらに底を抜けた。

「俺の記憶が正しければ、小岩さんより四つ年上なだけだろ」

圭也はほとんど噛みつくように吐き出した。

「あなた……」

梨紗は部屋番号をもう一度確かめた。確かに316。首を伸ばし、部屋の中をちらりとのぞく。

――まさか圭也、そういう趣味があるの? 年配の男と女と、三人で……?

そう想像した途端、梨紗の視線はますます気味の悪いものになっていく。

圭也が眉をひそめる。

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