第126章

梨紗は目を細めた。やっぱり圭也の言ったとおりだ。正助は――ただの変態。

『ご親切にどうも』梨紗は淡々と言う。『でも、私は圭也を説得するつもりはないわ。相手を間違えてる』

そう言い捨てて、梨紗は踵を返した。

正助は追ってこない。背後から、のんびりした声だけがふわりと飛んでくる。

『気が変わったら、いつでも連絡して』

梨紗の背中が人混みに紛れて見えなくなってから、正助はようやく視線を引き戻し、手元のグラスを傾けて一口飲んだ。

それから、指先に挟んだ一本の髪へと目を落とす。

……

梨紗が人の波を縫って会場を出ようとした、そのとき。

横合いから伸びた手が、ふいに彼女の進路を塞いだ。...

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