第128章

正助は扉の外に立ったまま、内側から漏れてくるリリアの懇願と苦痛の声に耳を澄ませた。まるで上等な音楽でも聴くかのように、目を閉じて味わう。

彼は去らない。廊下の同じ場所で、三十分。

やがて、部屋の扉が開いた。

肥え太った男が、名残惜しそうに出てくる。歩きながらズボンのボタンを留め、鼻先には薄い汗。顔には脂じみた満足が貼りついていた。

『今回のは当たりだな。極上だ』

事後の弛緩が混じった声。

正助は目を開け、いつもの作り物めいた笑みを浮かべる。

『ご満足いただけたなら、何よりです』

男は正助の肩をぽん、と叩いた。見下ろすような調子で、約束を投げてよこす。

『安心しろ。もともとお...

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