第21章

病院に着くと、康之の顔には焦りがありありと浮かんでいた。けれど終始、ただ脇で見ているだけで、手を出そうともしない。

梨紗を車から抱き下ろし、そのまま救急へ運んだのは圭也だった。

ひと通り処置を受け、梨紗の容体はいったん落ち着いた。ただ頭部を負傷していたせいで、意識は戻らないまま。

圭也は梨紗の状態を確認すると、病室を出た。

廊下の長椅子に座っていた康之が、物音に気づいてすぐ立ち上がる。

「梨紗はどうなんだ。……もう大丈夫なのか?」

圭也はマスクを外し、横目で睨むように一瞥した。

「そこまで気にするってことは……まだ未練があるのか? それとも二股でもする気か?」

康之はぎくりと...

ログインして続きを読む