第31章

ひととおり確認を終えると、梨紗は七海と昼食を取り、午後は仲介と一緒に物件を見て回った。

梨紗はお金に困っているわけじゃない。求めているのは、環境がよくて静かな一戸建て。何軒も見比べた末、北区の恵ヴィラエリアに出ている一軒だけが、彼女の条件にぴたりと当てはまった。

気に入ったと伝えると、仲介はすぐに売主へ連絡を入れた。

「申し訳ありません、小岩さま。オーナーさまはすでに海外へ行かれていて、ご友人に売却を委任されているんです。その方がいま手が離せないそうで、到着まで30分ほどかかるかもしれません」

「大丈夫。30分くらいなら周りを見て待つわ。来たら電話してもらえる?」

「かしこまりまし...

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